殺人のhow toを流してるのはマスコミではないのか?

今月初旬、テレ朝のワイドショーで、自称犯罪心理学者という人が犯人像に関して『自己顕示欲が強い。広島の事件の直後ということで「自分なら完全に実行できる」という自負をもって計画的に犯行したものだと思われる』との分析をしていた。そしてその直後のコーナーでは、「元鑑識のプロが現場検証!」というキャッチで『普通はこんな道に迷い込むなんてことは無いだろうから少なくとも土地勘がある』だとか『凶器を使っていれば傷口から凶器の種類を特定、買った店などの手がかりになる』とか、いろいろと検証プロセスのようなものを紹介していた。

マスコミがこんなに色々と捜査のポイントを紹介してくれてたら「自己顕示欲が強くて計画性がある」犯人にとっては、こんなにやりやすい事は無いだろうなと感じた。

マスコミの記事ひとつ取ってみても、捜査のポイントがある程度までわかってしまうんじゃないだろうか?たとえば

栃木小1殺害:発生から1カ月 犯人、地元に生活拠点?毎日新聞2005年12月31日)
 栃木県今市市の小学1年、吉田有希ちゃん(7)が下校中の通学路で連れ去られ殺害された事件は1月1日、発生から1カ月を迎える。栃木、茨城両県警の合同捜査本部は連日300人以上の態勢で捜査しているが、犯人は物証をほとんど残さず、姿も見られていないことから、犯行の計画性が次第に浮かび上がっている。捜査本部は、殺害から遺棄まで数時間を要していることなどから今市市周辺に生活拠点がある可能性が高いとみて、聞き込みに全力を挙げている。【関東晋慈、長野宏美、浅見茂晴】

  ■少ない証拠 

 「今回の事件は残された物が非常に少ない。犯人が証拠や遺留品を残さないよう注意したようだ」。捜査幹部は犯人の狡猾(こうかつ)さにまゆをひそめる。

 不明現場と茨城県常陸大宮市の遺棄現場を結ぶ約65キロの間、国道や県道周辺の雑木林や河川敷などは徹底的に捜索された。しかし、女児の持ち物や血の付いた衣類などは発見できなかった。

 今のところ有力な遺留品は、女児の髪に付いた粘着テープ片だけ。背中には犯人が血の付いた手で触ったような跡もあったが、指紋は検出されなかった。捜査本部では「手袋をした犯行では」との見方が強まっている。

 凶器は「幅2センチ以下で刃先が三角形ではない刃物」とみられるが、市販品には合致しないという。犯人が加工した可能性もある。両現場のタイヤ痕と遺棄現場の靴跡販路を絞り込むまでには至っていない。住民が見た不審車両も、白、黒、グレーなどさまざまだ。

 遺体の状況から、殺害は2日午前3時前後、遺棄は同日朝とみられる。今市市周辺で殺害し、常陸大宮市まで運ぶことも十分可能だ。捜査本部は、両現場周辺の不審人物を洗い出すとともに、今市市周辺のマンションやアパートなどに犯人の生活拠点があるとの見方を強めている。「基礎捜査を繰り返すうちに必ず犯人が残した手掛かりが見つかる。絶対に逮捕する」と捜査員。捜査は正月返上で続く。
(後略)
毎日新聞 2005年12月31日 3時00分

この記事だけで何かバカなことをしようとする人にとって有力な情報が得られる。たとえば、

  • 証拠や遺留品を残さないように注意をすること
  • 被害者の足取りが分からなくなった所から遺棄現場までが徹底的に捜査される
  • 被害者の持ち物や血の付いたものを落とすと足がつきやすい
  • 手袋をすると指紋が検出されない
  • 市販品の刃物をつかうと、販路を特定される⇔加工すれば特定されにくい
  • タイヤ痕と靴跡には注意⇔加工すれば特定されにくい
  • 死亡推定時刻と遺体発見現場から殺害場所を推定している
  • 上記の事に気をつければ捜査をかく乱できる

といったふうに。

視聴率や購読者欲しさに「元鑑識のプロ」とか呼んだりして、こういった捜査のポイントをマスコミが流すのはどうかとおもうんだが…どうなんだろう?

事件が起きる度にメディアではこういう特集が横並びに、ひっきりなしに流され、突然他のニュースに取ってかわられ、知らぬ間に記憶から消えているということがよくありますが、案外今回の事件もマスコミから得られる情報を一部参考にしていたりするんじゃないだろうか。